油汚れの落とし方

2018/04/20

キッチンのコンロ周りやレンジフードなどについた油汚れ、落とすのが大変ですよね。弊社にもキッチンクリーニングの依頼は、全加盟店を合わせると年間数千件を超えますが、なかでも特に多いのが「育ち盛りのお子さんがいる家庭」からのご依頼です。家族が増えればそれだけ多くの食材を調理しなければならないわけですから、よく食べよく遊ぶお子さんがいるご家庭のキッチンは、我々プロでも苦戦するほど汚れている場合が多いです。

共働き世帯が当たり前となった昨今、仕事に育児に家事にと大忙しの家庭で、本格的にお掃除するのはなかなか大変ですよね。いわば、キッチンに溜まってしまった油汚れは、お父さんお母さんの戦いの証。

今回の記事では、油汚れはどういった経緯で出来るのか油汚れはどのようにすれば落ちるのか便利な道具やテクニックなどをご紹介したいと思います。

 

2.油汚れとは

油は料理などに使う調味料の一種で、焦げ付きを防いだり、食材に効率よく火を通したり、匂いをつけたりする目的で使用されます。一般的に、ごま油、菜種油、サラダ油、てんぷら油などの植物性のものと、バター、ラード、肝油などの動物性のものが調理用として広く普及しています。

油汚れは水に溶けない性質があり、また空気中の酸素と反応して酸化すると固まるため、長い期間お掃除をしていないとちょっとやそっとでは落ちない汚れになってしまう特徴があります。油は高温で食材などを炒めると周囲に飛び散ったり、調理中に出た煙に含まれてレンジフード内部で冷えて固まり堆積します。油の飛び散りを防ぐ便利グッズや、油分を効率よく吸収してくれるレンジフードフィルターなどもホームセンターなどに売られていますが、やはりそれでも長い期間キッチンを使い続けているとどうしても油汚れが溜まってしまいます。

溜まった油には雑菌が湧いたりゴキブリなどの害虫のエサになったりイヤなニオイの元になったりなど、放置しておくとキッチンが不衛生な状態になってしまいますので、やはり定期的なお掃除が必要になります。

次の項では、弊社KIREI Produceのクリーニング部門である「おそうじ革命」の油落としテクニックについて子細にご紹介したいと思います。

 

3.油汚れの落とし方

油汚れは、調理中に使用した油や調味料などが飛び散ったり、揮発した煙の中に含まれたものが乾いて付着するものです。これらの汚れを落とすには、アルカリ性の洗剤を使うと効果的です。また、「水と油」という慣用句があるように、油汚れは水に溶にくい性質をもっています。それは油を構成している分子と水に含まれる分子とが混ざり合わないためです。これら油の分子と水の分子との境界を溶かし、水と油とが混ざり合うようにしてくれる洗剤を「界面活性剤」と呼びます。食器用洗剤などにはこの界面活性剤が含まれています。

洗剤を購入する際は、界面活性剤が含まれたアルカリ性の洗剤を用意するようにしましょう。また、洗剤を油にただ吹きかけるだけでは汚れ落としの効果があまり期待できませんので、油の表面を傷つけて組織の内部まで洗剤を浸透させる必要があります。そのための道具として、メラミンスポンジ(劇落ちくんなど)ナイロンブラシ(ハンドタイプの先端が細いものが望ましい)などを用意しましょう。

では、実際にお掃除してみましょう。油汚れに洗剤を吹きかけたら、ブラシで全体に伸ばしましょう。洗剤は出し惜しみせず汚れの体積に対して200%くらいの量を出してあげるのがコツです。洗剤の量が少ないと、乾いてしまったり油との反応がすぐに飽和状態となり、結果より多くの洗剤が必要となるためかえって効率が悪くなります。出しすぎだと思うくらいの量が適切です。ただし、洗剤が飛び散って他の部分を汚してしまったりしないよう、慎重に量を調節しながら作業しましょう。

洗剤をブラシで伸ばす際は、少し力を込めながら油と洗剤を反応させるイメージで擦っていきます。粗方油が分解されたら、メラミンスポンジでさらにその上から擦って油を落とします。

 

油汚れが重い場合は、洗剤のつけおきをしましょう。洗剤をつけおきしておく時間が長ければ長いほど油と反応し分解が促進されます。つけおきの途中で洗剤が乾いてしまうとそれ以降は油と反応しなくなってしまいますので、洗剤はなるべく多めに出し、しっかりと汚れ全体が濡れるようにします。先ほどの工程と同じように、洗剤を汚れに吹きかけたらブラシで伸ばします。汚れ全体に十分な量の洗剤を吹きかけたら、そのまま5分ほど放置しましょう。つけおき後は油が柔らかくなっていますので、あとはメラミンスポンジで油を削り落とし、雑巾で洗剤と汚れを拭き取ります。

それでも落ちない場合や、壁などに付着している油をつけおきするには、湿布法でのつけおきが効果的です。

まず先ほどの手順と同様、油汚れに十分な量の洗剤を吹きかけたら、ブラシで全体に伸ばします。次に、キッチンペーパーかサランラップを用意し、洗剤を吹きかけた部分全体を覆う量をとり、洗剤の上にかぶせます。こうしておくことで洗剤が乾いたり流れてしまったりするのを防ぎ、長い時間つけおきすることが可能となります。キッチンペーパーを使う場合は、ペーパーをかぶせたうえから更に洗剤をもう2,3プッシュ吹きかけておきましょう。湿布法は弊社ブログで過去に何度もご紹介しているテクニックですが、プロも現場で多用する非常に優れたつけおき法ですので、汚れがどうしても落ちない場合はぜひ活用してみてください。

また、油は温度が高くなると融解しやすくなります。60℃くらいのお湯に浸して暖めた雑巾をその上からかぶせておくと、さらに洗剤と汚れの反応が促進されます。

 

油汚れ落とすテクニックは以上になります。このほかにも、ガスコンロや魚焼きグリルについた食材燃えカスである「焦げ付き汚れ」を落とすテクニックをご紹介しているブログ記事がございますので、焦げ付き汚れにお困りの方はコチラの記事をご覧ください。

 

3-1.注意点

アルカリ性洗剤はアルミに長時間触れていると変色を起こす場合があります。調理台などについた油汚れには、あまり長時間のつけおきはしないようにしましょう。もしも変色してしまったときは、すぐに洗剤を拭きとり、粒子が粗めのクレンザー(研磨剤)をナイロンスポンジなどにとって該当の箇所を擦りましょう。もし、それでも落ちないレベルまで変色してしまった場合は回復することはほぼ不可能です。どうしても回復させたい、という方は、一度弊社KIREI Produceにお電話にてご相談ください。

また、アルカリ洗剤は肌や粘膜に触れると皮膚を溶かしたり、炎症を起こすことがあります。必ずゴム手袋を着用して作業にあたってください。心配な方はゴーグルをかけたり、マスクをつけることもおススメします。

アルカリ洗剤がフローリングに垂れると、床に塗ってあるワックスを分解してしまうことがあります。洗剤の液垂れには十分注意するようにしましょう。万が一飛び散ってしまった場合はすぐに雑巾で拭きとります。不安な方は養生シートというビニールのシートがホームセンターなどに売っていますので、これらを床に敷いて養生してから作業しましょう。養生シートは「マスカー」などの名称で売られています。マスカーは養生シートに粘着テープのついたもので非常に使い勝手が良いため、プロの間でも重宝されているアイテムです。

 

4.まとめ

・油汚れは水に溶けない性質をもつ

・油汚れにはアルカリ洗剤が有効!アルカリ性で、かつ油と水との分子の境目を壊す「界面活性剤」が含まれた洗剤を使う

・洗剤の量は大胆に。少ない量では二度手間三度手間になり、かえって洗剤を多く使うことになる。出しすぎくらいがちょうどいい

・しつこい汚れにはつけおきが効果的。それでも落ちない汚れや、壁などについた汚れには「湿布法」を試してみよう

・アルカリ洗剤はアルミに長い時間付着していると変色を招くことがある。その他、ワックスを剥がしてしまうこともあるので、洗剤が飛び散らないよう十分注意する。

・アルカリ洗剤は皮膚を溶かしたり炎症を起こすこともある。ゴム手袋は必ず着用する